城東4区の南東にある江戸川区・その1。かつて鉄道のアクセスは良好ではなかった。

 城東エリアの4区のなかで最後の紹介になりましたが、江戸川区について見てみましょう。

 江戸川区はまず、面積が大きい。50平方キロメートル弱と城東4区のなかでは最大の広さです。これは、14平方キロメートル弱である墨田区の3.5倍を超えます。

 そして、広いだけあって人口も多く、約68万人から69万人です。
(人口については次回、あらためて取りあげます。)

 江戸川区の西側の区界は、荒川と旧中川。東側は江戸川、南は旧江戸川です。
複雑にいり組んでいるのは、河川ではなく陸続きで接している、北側の葛飾区との境界だけです。
これを換言しますと、葛飾区との境界以外はすべて、河川によって隔てられていると表現することもできます。
陸続きでないということは、橋が架かっていたりトンネルが掘られていたりする場所でなければ隣接する対岸へアクセスすることができないことを意味します。

 この不便さに加え、現在は改善されてはいますが鉄道の開通も早いものではありませんでした。
高度経済成長期も終盤に差しかかった、1960年代の終わりころに営団地下鉄――現在の東京地下鉄東京メトロ)――が通るようになるまでは、区内の鉄道は北の端のほうを、京成線と(当時は国鉄の、現在はJRの)総武線が走っているのみでした。
その後、1980年代になって都営地下鉄が区内を西から東へ段階的に開通するようになり、都心へのアクセスが向上します。
千葉県側(の本八幡駅)へも延伸したのは、元号が昭和から平成になった、1989年。
区の最南端にはJRの京葉線が走っていますが、これが東京駅まで延びるのはその翌年・1990年です。